本作は能美市指定文化財の一つです。
胴部中央には、悠々と天空を飛翔する竜と雲が描かれています。古来より中国や日本では、竜・鳳凰・麒麟は想像上の動物ではありますが、良いことが起こる前触れ、前兆として姿を現す瑞獣と信じられ、絵画や工芸品の吉祥文様の一つとして描かれてきました。
彼が遺した赤絵作品の竜文様は、赤絵細書割取見込竜図深鉢のように量産に向いた陶画的でやや稚拙なものと、狩野派の絵画のような筆致のものの両方があります。一見一人の画工の手ではないように思われるのですが、産業九谷の礎を築こうとしていた道開の試行錯誤の努力の跡と見ていいのではないかと思います。本作の竜のタッチは日本画の狩野派そのもので、とても見事な筆致です。掌で徳利胴部をぐるりと回して竜図を鑑賞すれば、より一層作品の素晴らしさを感じることができます。