小酒 磯右衛門 1833(天保4)~1900(明治33)年
小酒磯右衛門は天保4年(1833)高堂村(現小松市高堂町)の農家の6男に生まれ、幼少の時から技芸に優れ、村内の寺の住職に習字を教わっていました。また斎田伊三郎(道開)の佐野窯で3年修行し、さらに九谷庄三の門も叩きました。安政5年(1858)郷里の高堂村で陶画を業として独立し、翌年工房を開きました。道開と庄三の両巨匠と交流して、それぞれの特徴をよく取り入れた独自の「高堂絵付」という画風と色調を編み出しました。上絵は写生風に文様を配し、構図においては雄大な山水図を取り入れ、気品を感ずるものが多くあります。緑を基調とした画風は重厚感があり、耕作の図や老松、鶴の巣ごもりの図などの名作が伝えられています。磯右衛門は趣味が広く村童を近隣の寺に集め習字を教え、仏華を立て、蓮花生花の法式を究めたといいます。明治33年(1900)に67歳で他界しました。KAM 能美市九谷焼美術館 陶工・陶商・作家一覧