ご主人の朝本修さんは、シャンソン歌手でエッセイストでもある石井好子さんのプロデュースで、1967年(昭和42)に日比谷の東宝ツインタワーの地下に開店していたフレンチレストラン「メゾン・ド・フランス」に勤務。店舗の金沢出店に朝本さんも加わり地元に戻ることに。勤務して20年後となる1987年（昭和62）に満を辞して独立、このTOMORROWを開店しました。店名のTOMORROWには「明日も来てください」という意味が込められています。開店当初はまだこの地にピザは珍しく、スパゲティもナポリタンとミートソースくらいしかない時代です。全体が白いタイルで覆われた外壁に、店内は天井も高いモダンな室内。スパゲティペスカトーレやモダンなオムレツ（前出メゾン・ド・フランスは石井さんの著書「東京の空の下オムレツのにおいは流れる」のなかにも出てくるオムレツの超有名店）を提供するお店でした。メニューも値段の変更はありますが掲載されている写真は開店当時のまま。使われている食器もこの九谷の地にあって全てメゾン・ド・フランスと同じ多治見の特注品。デザインも30年以上変わらないまま今日に至ります。70歳を越えた今でも精力的にカウンターに立つご主人と奥様の京子さんが気さくに迎え入れてくれる喫茶店。30年以上通う常連のお客さんに人気なのがミックスピザにコーヒーまたはコーラが付いたピザセットですが、実は今でもこのオムレツを探し続ける人がいるほどです。TOMORROWは昭和時代に東京銀座で絶賛されたオムレツが食べられるファンにとって、明日も来たいお店でした。