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九谷茶碗まつりをオンラインで開催します。

九谷焼は石川県の南加賀を中心に生産される色絵の磁器です。
通常は5月のゴールデンウイークに開催される「九谷茶碗まつり」には 毎年18万人以上の方々にご来場いただき、賑わいをみせています。 今年はオンライン開催となりましたが、43の店舗から800点以上の品が揃いました。 660円の特価品から220万円の巨匠の壷までお値打ち品ばかりです。
全ての商品は一点一点職人の手作業によるものです。 九谷焼職人は360年以上前から伝統を受け継ぎながらも、それだけにどどまらず 独自で新たな技法や表現に挑戦し続けてきました。
そのため、型にはまらないスケールの大きな名品が過去にも多く存在します。
多様性も九谷焼の大きな魅力のひとつです。
手にとった器の絵柄や色柄から、つくりあげた職人の“お人柄”も きっと感じていただけると思います。
石川県能美市に、今日の産業九谷の道しるべを作った二人の名工、 斉田道開(さいだどうかい)と九谷庄三(くたにしょうざ)。
九谷茶碗まつりは、明治後期から大正にかけて二人を祀るそれぞれの 神社の慰霊祭を起源とし、今に受け継がれた一大イベントです。

SAIDA, DOUKAI

江戸時代後期に、佐野の地(能美市佐野町)で佐野窯を開いた道開は、金をより美しく彩らせる二度焼き技法を生み出すなど、現代の佐野赤絵に受け継がれる作風を確立し、優秀な陶工を多く育てました。また佐野窯を上絵窯とし、素地窯を別に独立させたことで素地づくりと上絵付けが分担され、それぞれの専業者ができました。製品の販売についても、生産にかかわったことのない人たちが、それぞれの持ち味を生かした商いを始めます。この分業制が、佐野の地における産業九谷の草分けとなりました。
斎田 道開|赤絵細書竜鳳凰百老図深鉢
  • 1796(寛政8)~1868(明治元)年
  • 口径23.0/高10.0cm
  • 能美市九谷焼美術館
斎田 道開|赤絵五羅漢図鉢
  • 1811(文政8)~1875(明治8)年
  • 口径33.0/高16.0cm
  • 能美市九谷焼美術館
斎田 道開| 赤絵細書図徳利
  • 1796(寛政8)~1868(明治元)年
  • 胴径9.0/高20.0cm
  • 能美市九谷焼美術館

KUTANI, SHOUZA

産業九谷の基盤が築かれた明治時代、寺井の地(能美市寺井町)で活躍したのが九谷庄三です。庄三は、輸入され始めたばかりの洋絵の具をいち早く取り入れ、五彩を彩る細密描法の彩色金襴手を完成させました。庄三の作風は、明治の海外への貿易品として好まれ、商人の手によって大量輸出されるとともに、国内の販路を広げ、現代の九谷焼作風の大きな比重を占めました。多量の需要に応じるために行った分業化は、画技と能率を一段と向上させ、優れた製品の量産化を実現しました。
九谷庄三|龍花卉文農耕図盤
  • 1816(文化13)~1883(明治16)年
  • 幅59.0/36.3/高7.4cm
  • 能美市九谷焼美術館
九谷庄三|色絵割取鉢 柳美人図
  • 1816(文化13)~1883(明治16)年
  • 口径33.5/高8.0cm
  • 能美市九谷焼美術館
九谷庄三|色絵山水亀図馬盥形水盤
  • 1816(文化13)~1883(明治16)年
  • 口径40.5/高15.5cm
  • 能美市九谷焼美術館
二人は師弟の育成にも力を注ぎ、明治以降の産業九谷を支えていくことになる多くの職人をこの地に生み出しました。現在まで息づく職人のまちの原点です。その職人気質をこのWEB九谷茶碗まつりでもお楽しみいただけます。