足し算と、引き算と。
足し算と、引き算と。
佐藤さんが長年取り組まれてきた水墨画には、筆にふくませた墨と水の加減で、一筆の中に濃淡が生じて種々の効果を生み出すために、筆をねかせて筆の腹で描く付立(つけたて)など、純白無垢の紙に、迷わず一気に自在な線と墨の濃淡で描く表現や、墨色、そして残された余白に、観る人の想像力が重ねられ、深く広がりのある世界に大きな魅力を生み出します。いわば観る人の想像力を足し算して増やしていく創作。そして同じく長年取り組まれている陶芸のろくろは、粘土の塊から自由に形あるものを生み出し、その形から彫刻のように削り出して空間に造形物を創造する、いわば引き算で生み出す創作です。佐藤さんは、この相互の経験をいかし、九谷焼に新しい表現を生み出しています。
佐藤さんが長年取り組まれてきた水墨画には、筆にふくませた墨と水の加減で、一筆の中に濃淡が生じて種々の効果を生み出すために、筆をねかせて筆の腹で描く付立(つけたて)など、純白無垢の紙に、迷わず一気に自在な線と墨の濃淡で描く表現や、墨色、そして残された余白に、観る人の想像力が重ねられ、深く広がりのある世界に大きな魅力を生み出します。いわば観る人の想像力を足し算して増やしていく創作。そして同じく長年取り組まれている陶芸のろくろは、粘土の塊から自由に形あるものを生み出し、その形から彫刻のように削り出して空間に造形物を創造する、いわば引き算で生み出す創作です。佐藤さんは、この相互の経験をいかし、九谷焼に新しい表現を生み出しています。
以前は大阪の電子部品会社の子会社で働いていました。生産ロボットの部品管理の仕事をしていたのですが、何か手に職をつけたいと思い、窯元で数年間働きながら研修所でろくろのコースに週1で2年間通いました。その後独立し、県の支援工房に入りましたが、何を作っても売れない時代が続きました。オリジナリティの高いデザインの必要性を感じ、お花の文様からインスピレーションを受け、自分なりのデザインを起こしました。しかし、それだけでは何か足りないと感じ、思い切って墨で大胆な模様をいれ、大きな黒の面積で目を引くポイントと、文様の緻密な部分とのコントラストをつけたことで、ようやく生まれたのがこのシリーズです。
以前は大阪の電子部品会社の子会社で働いていました。生産ロボットの部品管理の仕事をしていたのですが、何か手に職をつけたいと思い、窯元で数年間働きながら研修所でろくろのコースに週1で2年間通いました。その後独立し、県の支援工房に入りましたが、何を作っても売れない時代が続きました。オリジナリティの高いデザインの必要性を感じ、お花の文様からインスピレーションを受け、自分なりのデザインを起こしました。しかし、それだけでは何か足りないと感じ、思い切って墨で大胆な模様をいれ、大きな黒の面積で目を引くポイントと、文様の緻密な部分とのコントラストをつけたことで、ようやく生まれたのがこのシリーズです。
オリジナリティにこだわった理由の一つは、多くの作家さんの「山もあれば谷もある」ところを見てきて、デザインを独自で開発して、それが売れ出しても、その時に次の展開を考えないと沈んでいく、という危機感です。一度忘れられると、世の中から見捨てられてしまう恐怖感でもあるかもしれません。もう一つの理由は、ろくろを引いていて気づいたことなのですが、良い形の素地を作っても、最終的にその器はその素地に絵を描いた人の作品名になってしまうことに疑問を感じたことです。
オリジナリティにこだわった理由の一つは、多くの作家さんの「山もあれば谷もある」ところを見てきて、デザインを独自で開発して、それが売れ出しても、その時に次の展開を考えないと沈んでいく、という危機感です。一度忘れられると、世の中から見捨てられてしまう恐怖感でもあるかもしれません。もう一つの理由は、ろくろを引いていて気づいたことなのですが、良い形の素地を作っても、最終的にその器はその素地に絵を描いた人の作品名になってしまうことに疑問を感じたことです。
とある作家さんの個展で「先生のこの器、とても形が綺麗で素敵ですね」と先生に言っても、その褒められた部分は正確にいうと、先生がその素地を選んだことを褒められているわけです。最近の若手の作家さんは、素地は誰それの製作と素地を引いた人の名前も作品展で紹介するようになりましたが、以前はそんなことはありませんでした。それで、自ら作った素地に上絵をつけ「これは私の作品です」というのをはっきりさせたいと思ったのです。
とある作家さんの個展で「先生のこの器、とても形が綺麗で素敵ですね」と先生に言っても、その褒められた部分は正確にいうと、先生がその素地を選んだことを褒められているわけです。最近の若手の作家さんは、素地は誰それの製作と素地を引いた人の名前も作品展で紹介するようになりましたが、以前はそんなことはありませんでした。それで、自ら作った素地に上絵をつけ「これは私の作品です」というのをはっきりさせたいと思ったのです。
以前から水墨画を描いていたことが、墨を大胆においたり、余白を生かしたりするデザインにつながっています。やみくもに色数を増やさず構成でメリハリつけることは、水墨画での画面のどこにモチーフを配置するかの判断や、ちまちま描いていても筆のポテンシャルを引き出せないので、一発でぐっと描く大胆さなどは、粘土を触っている時に瞬間、ぐっと力を入れたりする際の判断力にも役立っていると思います。
以前から水墨画を描いていたことが、墨を大胆においたり、余白を生かしたりするデザインにつながっています。やみくもに色数を増やさず構成でメリハリつけることは、水墨画での画面のどこにモチーフを配置するかの判断や、ちまちま描いていても筆のポテンシャルを引き出せないので、一発でぐっと描く大胆さなどは、粘土を触っている時に瞬間、ぐっと力を入れたりする際の判断力にも役立っていると思います。
プロフィール
1964年  
旧根上町生まれ
1988年  
文吉窯入社 九谷焼技術研修所にてろくろ技術を学ぶ。 高尾升道師にて水墨画を習う
1992年 
石川県水墨画協会展初入選
1993年 
石川県水墨画協会展佳作賞 以降、入選入賞多数 小松市水墨画協会展 最高賞 協会長賞 以降、入選入賞多数
2001年 
石川県水墨画協会展 最高賞 県知事賞
2013年 
独立。創楽庵 創設
2018年 
通商産業大臣認定 伝統工芸士に認定される


現在 石川県水墨画協会 理事長
小松市水墨画協会 理事
能美市美術作家協会 理事
プロフィール
1964年  
旧根上町生まれ
1988年  
文吉窯入社 九谷焼技術研修所にてろくろ技術を学ぶ。 高尾升道師にて水墨画を習う
1992年 
石川県水墨画協会展初入選
1993年 
石川県水墨画協会展佳作賞 以降、入選入賞多数 小松市水墨画協会展 最高賞 協会長賞 以降、入選入賞多数
2001年 
石川県水墨画協会展 最高賞 県知事賞
2013年 
独立。創楽庵 創設
2018年 
通商産業大臣認定 伝統工芸士に認定される


現在 石川県水墨画協会 理事長
小松市水墨画協会 理事
能美市美術作家協会 理事